不特定多数の利用者がいるコインパーキングはもちろん、月極駐車場でも気になるのが不正駐車。
正規の料金を支払わずに、無断で車を停められてしまうと、売上や稼働率にも影響が出てしまいます。
駐車場の運営相談にのってきた私たちの経験上、住宅街や地方よりも、人が集まる都市部や繁華街ほど不正駐車が多い傾向にあります。
今回は、始めて駐車場を経営される方からも質問の多い「よくある不正駐車のパターンとその対策」について、解説致します。
目次
不正駐車の代表的なパターン
一言で不正駐車と言っても、様々なパターンがあります。中でも特に多いのがコインパーキング駐車場での「パークロック(フラップ板)の乗り越え」と、「駐車区画外への(無断)駐車」です。これらの不正について、実際の運営経験も踏まえての対策は以下のようなものがあります。
よくある不正駐車1「パークロック(フラップ板)の乗り越え」
コインパーキング駐車場で想定されるのが、エンジンを思い切り深くかけ、パークロック(フラップ板)を乗り越えてしまうケースです。
この乗り越えを物理的に防ぐのはなかなか難しいものですが、最新のパークロックは『何回乗り越えられたか』をカウントする事が出来ます。このタイプのパークロックであれば、まず乗り越えがどれくらいあるのか回数を把握しましょう。
同じ駐車場内でも死角などにより、特に乗り越えられやすい駐車位置があります。そのカウントがあまりにも多ければ、監視カメラの位置や見張りなどの対策をどこにすべきかが明確になります。
よくある不正駐車2「駐車区画外への(無断)駐車」
不正駐車というと、上記の「乗り越え」をイメージされる方が多いと思いますが、意外にもこのパターンはそれほど多くありません。より頻繁に行われる不正駐車は、駐車区画外に車を停めてしまう「駐車区画外への(無断)駐車」です。
駐車場の出入り口や通路部分・ラインが引かれていない空き地部分に停める、またコインパーキングのフラップ板を乗り越えない範囲でギリギリに停めるなど、駐車場の形状により様々な不正駐車の可能性があります。パークロックを利用しないため、回数を数えることも難しく、これを防ぐにはそれなりの対策が必要です。
対策1 駐車区画レイアウトの工夫
まずは、駐車場内に不要なデッドスペースを作らないことが肝心です。
たとえば、前面道路がやたらと広い駐車場の場合、「他の車の出入りに影響がなければいいだろう」と不正駐車に繋がってしまうことがあります。レイアウトを決める際、前面道路はおよそ5mを目安にしましょう。5m程の幅があれば、自動車の切り替えしも可能なので、利用者の不便もないでしょう。
★より詳しい駐車場の寸法についてはこちらの記事もご覧ください
【運営ノウハウの初歩】駐車スペース/車室の基本寸法について
こうした駐車場のレイアウト/設計は、特に駐車場運営の経験・ノウハウが問われるところです。ただ駐車台数を多くするために、スペースを詰め込めるのはあまり上手なレイアウトとは言えません。駐車スペースと通路の工夫により、無用な不正駐車や事故までも防ぐことができるのです。
対策2 バリカー・ポール・看板の設置場所
デッドスペースになりそうな場所に、バリカーやポール、看板などを設置してデッドスペースを塞ぐのも対策の一つです。道路付けや位置取りによっては、自動販売機を設置するもの有効です。
自動車が置ける広さのスペースは、いずれの場所でも不正駐車を招く可能性がありますので、利用者の方に邪魔にならない程度に「デッドスペースを作らない」対策が重要です。
「防犯カメラ」の使いどころ・さらなる対策
不正駐車に対しては「防犯カメラ」、と思われる方も多いのですが、このカメラの設置すべき場所も、駐車場の運営経験により差が出ます。
過去の不正の瞬間を撮ることと、「次の不正」を防ぐことは別問題です。うまくカメラが機能せずに逆に通信費などの負担が大きくなった、という土地オーナーさんもいらっしゃるのです。
さらに不正を未然に防ぐ方法として忘れてならないのは「看板や張り紙」での注意喚起です。どの駐車場でも不正駐車の監視、見回りをしているものの、この事を改めて伝えている駐車場は意外と少ないのです。
駐車場は無人である時間が多いので、ゴミなどが散乱していて荒れていたりすると、放置されているという印象を与えかねません。きちんと駐車場を管理・監視していることを伝え、注意喚起をした方が、一般の利用者の目も重なり、不正駐車を防ぐ効果が期待できるのです。実際の集金や見回りの際に、ゴミ拾い・駐車場の整備も忘れずにしたいですね。
不正駐車というと、ロック板の乗り越えをイメージする方がほとんどかと思いますが、圧倒的に多いのは上記で説明した枠外駐車です。
広々した駐車場は、使いやすく、良い駐車場だなと、思われるかもしれませんが、不正駐車が増えてしまっては元も子もありません。駐車スペースのレイアウトを考える、デッドスペースになりそうな場所をつくらない等の対策が、不正駐車の防止につながります
駐車場の経営や運営についてお困りのことがあれば、ぜひ我々にもご相談ください。