コインパーキング駐車場の経営で、最も重要度が高く、売り上げを左右する要素のひとつは、料金設定です。
料金のつけ方次第で、売り上げが半分になったり、倍以上に改善されたりします。
以前関わったコインパーキングでは、この料金設定を周囲の競合状況もみながら、細かく調整することで、売上が2~4倍とかなり改善したケースもありました。
コインパーキング会社に勤務し、その後も駐車場経営の関わってきた実績と、駐車場の経営相談を受けてきた経験を踏まえて、今回はコインパーキング駐車場の『収益をあげやすい料金設定』秘伝ノウハウをお教えいたします。
目次
「収益を上げやすい料金設定」の基本的な考え方
収益を上げる基本としては駐車場の「稼働と回転数を上げる」ということになります。
稼働とは駐車場になるべくたくさんの車が停まること、回転数とは停まった車がなるべく短時間で入れ替わることです。
短時間で駐車利用客が入れ替わりで収益があがる理由は、最大料金までの時間単位の駐車料金を得られるためです。
よくコインパーキングで見かける「最大料金〇〇円 △時間後 」と設定された料金は、その時間を超えると、追加の駐車料金が発生しなくなるというものです。つまり短時間で駐車利用客が入れ替わることで、この最大料金(以降に追加の駐車料金が発生しなくなる)を避けて、常に時間帯での駐車料金が得られるのです。
結果、駐車スペースのすべてが埋まり(稼働)、なおかつ細かく入れ替わる(回転数)と、収益が最大化することになります。
ただし、上限料金設定にも様々なパターンがあります。例えば、
・「時間最大」3、6、12、24時間という3の倍数の時間で上限刻み
・「1日あたり」日単位での最大料金
・「時間帯ごと最大料金」8:00~21:00までなど時間帯を区切っての最大料金
さらにこの最大料金を超えた場合に、あらためて時間ごとに料金がかかるのか、ずっとこの最大料金が適用されるかでも料金設定が変わります。
この最大料金の設定の仕方、また時間帯によっての駐車場料金をどう設定するかが、収益をあげるカギとなるのです
ズバリ、これが売り上げが出るコインパーキングの料金設定
上記の「稼働と回転数を上げる」という基本に沿って料金設定をするとき、特に考慮すべきポイントは「駐車場のあるエリア」と「駐車可能台数」の2点です。
例えばエリアと駐車可能台数の組み合わせでいうと「住宅地の中で4台以下」「繁華街エリアで10台以下」の駐車場は、駐車可能台数が少なめの駐車場といえます。
こうした台数が少ない駐車場の場合、上限料金が安いとその料金だけで駐車が固定されてしまうため、上限料金を周囲と合わせるか少し高めにするのがよいでしょう。
またビジネス街などの場合、夜間の稼働は見込めないため、昼間は高く、夜は安めの料金にするとよいでしょう。
店舗などが多い繁華街の場合、昼間と夜の需要が変わるので、昼と夜で変わるような時間帯ごとの最大料金を設定すると収益を上げやすいでしょう。
逆に「住宅地で5台以上」「繁華街エリアで10台以上」は、駐車可能台数が多めの駐車場といえます。
そのような駐車場台数が多い駐車場は、下記のような料金設定が有効です。
1. 周辺の駐車場と比べ『上限料金(1日の最大料金)』は安い値段にする!
2. 周辺の駐車場と比べ『時間単位』は長め&高い値段にする!
例えば、周辺のコインパーキング駐車場Aが「1日の最大料金は2000円、昼間の利用は20分100円」だとします。
この場合、自分の駐車場では「1日の最大料金を1800円、昼間の利用は30分200円」と設定しましょう。
もちろん、駐車場が見つけやすいか、出し入れしやすい状況か等、細かな違いで稼働の見込みは変わりますが、ほとんどの駐車場の場合、これが一番収益を上げやすい駐車料金の設定方法となります。
上記が料金設定の基本戦略となりますが、実際の利用客の目線で、料金設定の違いによる「駐車のしやすさ」を考えてみましょう。
その1. 周辺の駐車場と比べ『上限料金(最大料金)』を安い値段にする!
前述の通り駐車場台数が多い駐車場は「最大料金を安く」、逆に駐車台数が少ない駐車場は「最大料金を高く」するのが基本となります。
ただし、住宅街・都心部・繁華街に関わらず、周辺にいくつものコインパーキングがあるエリアの場合は、周囲よりも上限料金が安いほうがより稼働があがりやすいです。
なぜならコインパーキングの利用者の中で、上限料金を気にかける人は、上限料金を払う気でいる人たちがほとんどなのです。
例えば、周辺で作業のある工事業者さんや、通勤のため一日中停めることになったサラリーマンなど、何らかの事情で長時間の駐車をせざるをえない方たちです。それぞれの事情は様々ですが、長い時間駐車をするのであれば、なるべく安いところに停めたい、と考えるのは当然のことです。
このため、周囲の駐車場よりも上限料金を低く設定した方が、集客力のアップにつながるのです。
例外として駐車場台数が少なく、かつ立地が駅にかなり近いという場合は、上限料金を設けない方が利益が出やすくなる事もあります。
駅に近い場所だと、多少料金が高くなっても、利便性を選ぶという方もいるのです。
目安として、収容台数が5台以下かつ駅から徒歩5分以内の駐車場は、最大料金を設定しなくても売上がでやすいといえるでしょう。
その2. 周辺の駐車場と比べ『時間単位』は長め&高い値段にする!
平日昼間に、短時間だけコインパーキングを利用する人のほとんどは、周囲に営業先・得意先のあるビジネスユーザーです。
ビジネスユーザーにとって駐車料金は交通費、すなわち会社の経費です。自分の生活費からの支払いではなく、後に会社から支給されるため、細かな料金の違いこだわらない利用者が多い傾向にあります。
もちろん同じ「20分単位」で料金が「100円」と「200円」なら、より安い方が選ばれるでしょう。
しかし、この基準の時間単位がバラバラだと、ビジネスユーザーは駐車料金を自分で支払わないため、100円の金額差をあまり気にしません。100円程度の差であれば、より近く、より利用しやすいコインパーキングを選ぶのです。
そのため、時間区切りは粗め(単位ごとの分数を多め)に、料金は高めにしておくと、売り上げが最大化することが多いのです。
また用事が済んでしまえば、次の要件・仕事があるため、残り時間が何分あっても惜しげもなくすぐに出庫していきます。結果、平日昼間の利用が多いと「回転率の良いコインパーキング」になるのです。
時間区切りの決め方
単位あたりの分数、時間の区切りの設定についてより詳しく解説いたします。
周辺のコインパーキングの最低利用単位が「20分刻み」であれば、こちらは「30分」や「40分刻み」に設定しておくとよいでしょう。短時間の駐車とはいえ、ある程度の時間の余裕があったほうが、利用しやすいという心理も働きます。
また、都心部の中心や東京の一等地では「16分」「25分」「35分」という、一見、1時間当りの料金を計算しづらい金額にするコインパーキングも多くなっております。
傾向として、利用者は1時間単位で駐車場料金を計算する傾向にあり、もし割り切れない数、1時間いくらが計算し辛い料金だと、多少の金額差は気にせず停めてしまう事があるのです。
短時間利用者が多い地域の回転性
例えば、周辺の駐車場の最低料金が「15分100円」だとした場合、こちらの駐車場では「30分200円」に設定します。
16~30分間の駐車料金は同じく200円になりますが、15分以内の駐車料金は100円と200円で2倍もの差が出ます。
前述のような細かい料金を気にしないビジネスユーザーが「30分間で考えると同額の200円だからどちらに駐車しても変わらない」と思い駐車したとしてます。結果的に15分以内で駐車場を出ると、前者は100円、後者は200円の売り上げとなり、これが積み重なると、売り上げの差が大きく出てくるのです。
さらに極端な話、15分100円の駐車場と、60分400円の駐車場で、10分間しか利用しなかった場合の駐車料金は4倍にもまります。
このように、時間の刻みが粗いほど、早く出庫された場合の利益はあがるのです。
もちろん実際は、周囲の環境によって、回転率が高い短時間利用者が多いのか、それとも長期の利用者が多いのかを見極めたうえで、さらに細かい調整が必要になってきます。
まとめ
駐車料金の設定は「稼働」と「回転率」が最大化するように設定する。
これがコインパーキング料金設定の、基本的な最適ルールです。
そのために、駐車場の周辺に何があるか、競合の駐車場が多いか、どの時間帯に駐車場ニーズが高いか、利用者はどんな人たちか、などを考慮して駐車料金を設定するのがポイントです。
もし、この料金設定でも売上が改善しない場合、立地的に看板が目立たないという「販促の問題」や、一方通行でその駐車場に入りづらい等「立地の問題」、ゴミや近隣建物との関係などの「管理上の問題」など、他の課題が潜んでいる可能性もあります。
もしコインパーキング運営や駐車場の経営についてお困りのことがあれば、ぜひ我々 駐車場経営.jp にご相談ください。