駐車場において必要な設備は、その運営形態によって異なります。
今回はそれぞれ「月極駐車場」、「時間貸し駐車場(自営の場合)」、「時間貸し駐車場(コインパーキング業者と契約)」の3つのケースについて必要な初期投資もしくは必要設備についてご説明いたします。


駐車場経営の3タイプ別の必要設備と初期コスト土地を有料駐車場として活用する際は、お客様の利用しやすさを考えないと、なかなか稼働が見込めません。

特に周囲に競合の駐車場が多い立地の場合、駐車場経営上、大幅な差の料金設定はしづらく、きれいさや環境により稼働が左右される事もあるようです。

駐車場は、一次的にとはいえ、自分の資産でもある自動車を保管しておくスペース。利用者目線で考えて、設備が充実しているに越したことはありません。
それぞれのタイプ別の駐車場経営において、最低限揃えたい設備/必要な初期投資を確認しましょう。

 

駐車場経営:月極駐車場のケース

土地を月極契約として駐車場経営する場合、基本的に開設(初期投資)は自己負担となります。集金や利用者との契約等を含めた管理業務を不動産業者に委託する場合でも、開設までは、土地オーナー自身が準備することがほとんどです。
 

月極駐車場に必要な設備/初期投資

■アスファルト舗装工事
→自動車へ傷がつきそうな駐車場は特に嫌われますので、段差や大きな亀裂があると、舗装をし直すケースもあります。
 
■フェンス(メッシュフェンスor目隠しフェンス)
■フェンス設置工事

→自動車の排気ガスが周囲の住居、ビルなどを汚さないようにする配慮。
 また歩行者の通り抜けや風によるゴミの飛来を防ぎ、周囲の視線を遮るなど、利用者の方の使いやすさにも影響します。
 
■車止め(車止め専用ブロック等)
■車止め設置工事

→駐車の際の安全性を確保し、壁やフェンスへの衝突など、無駄な事故を防ぎます。
 
■ライン工事(番号や駐車スペースを表記する白線)
→利用者の駐車している番号/位置を明示。また方向指示や駐車可能台数を明確にします。
 
■利用希望者へ向けた連絡先看板
→新規の利用希望者がどこに問い合わせをしたらいいかの案内です。
 駐車場経営をするオーナーもしくは管理を委託している不動産業者の連絡先であることが多いです。
 

駐車場経営:時間貸しコインパーキング駐車場(自営)のケース

時間貸しのコインパーキング駐車場を経営する場合、コインパーキング業者と契約をするケースがほとんですが、土地オーナーの意向や様々な事情により、自営をする場合もあります。

また「中抜きが無い分、コイパーキングでも自営のほうが儲かる」という声もありますが、時間貸しのコインパーキング駐車場は、開設と運営にかなり手間がかかるもの。こちらについては、過去記事でも詳しく説明しておりますので、参考にしてください。

【過去記事】:コインパーキング会社のコインパーキング運営業務とは?
 

時間貸(自営コインパーキング)で必要な設備/初期投資

■アスファルト舗装工事
→月極として駐車場経営する場合と同様です。料金が安くても、場内が荒れていたり、自動車へ傷がつきそうな駐車場は避けられる傾向にあります。
 
■フェンス(メッシュフェンスor目隠しフェンス)
■フェンス設置工事

→こちらも月極として駐車場経営する場合と同様ですが、時間貸しの場合、さらに自動車の出入庫が多くなるので、排気ガスによる周囲の建物への配慮、また挨拶回りなども重要になります。
 さらに不特定多数のドライバーが使うため、周囲の視線を遮るなどのプライバシー保護もより重要になるでしょう。
 
■車止め(車止め専用ブロック等)
■車止め設置工事

→こちらも月極として駐車場経営する場合と同様です。
下記の「バリカー」の項目にて詳しい説明をしていますが、周囲の建物などと衝突事故が発生した場合、ケースによっては駐車場オーナーの責任が問われる事もあるため、自動車固定用のフラップ板があったとしても、なるべく車止めもあったほうが良いでしょう。
 
■ライン工事(番号や駐車スペースを表記する白線)
→こちらも月極として駐車場経営する場合でも必要ですが、時間貸しのコインパーキングの場合、不特定多数の利用者がそれぞれ駐車場料金を精算するため、その番号表示は最重要項目の一つとなります。また広い駐車場において、無用な事故を防ぐために、入出庫や通行の方向指示も重要なポイントです。
 
■パークロック設備(ゲートもしくはフラップ板)
■パークロック設備の設置工事

→時間貸しコインパーキング駐車場を経営する場合に必要な、特有の設備です。
中規模~大規模の駐車場は出入り口にて精算/入出庫を管理するゲート方式、駐車台数が少ない小規模~中規模の駐車場では、車一台ずつを固定するフラップ板が利用されます。
 
また、ゲートはかなり高価な設備になるので、リースを組んで設置することが多いようです。対してフラップ板は、一つ一つはゲートより安いものの、駐車台数分だけ数を揃え、設置工事をする必要があるので、規模によってどちらが初期投資が抑えられるか、見積もりが必要となります。それぞれの設備の特徴について詳しくは、こちらの過去記事も参考にしてください。
 
【過去記事】:知っておきたいゲート式とパークロック(フラップ板)
 
■精算機設備(上記のパークロック設備と関連)
■精算機の設置工事

→こちらも時間貸しコインパーキング駐車場を経営する上で必要な、特有の設備です。ゲートの場合、この精算機設備を兼ねますが、フラップ板の場合は、それぞれの駐車料金を支払うための精算機が別で必要となります。
 
■看板(P看板・料金看板・約款看板)
■看板の設置工事

→毎月の決まった固定客が利用する月極駐車場とは違い、時間貸しコインパーキング駐車場を経営する場合は、集客のための設備も必要となります。オーソドックスなものだと、駐車場=パーキングの意を表す「P」の文字の看板です。また夜間や混雑しやすい土地などで分かりやすいのが、電光表示で満車/空車を示す看板。さらにこうした営業向けの看板だけでなく、利用者に対して、料金や利用約款を示す表示看板もそれぞれ必要となります。
 
バリカー(衝突防止のガードレールのようなもの)
■バリカーの設置工事

→こちらは衝突防止のための柵のような設備で、時間貸しコインパーキング駐車場を経営する土地や周囲環境など、必要に応じて設置します。
例えば、利用者の車が近隣の家に衝突して当て逃げした場合、基本、第一責任者は衝突させた利用者当人ですが、当て逃げしてしまった場合、第二責任者である駐車場管理者の責任となるのです。
そのため駐車場の立地や、周囲の建物との状況によっては、バリカーなどの衝突防止設備が必要です。
 

駐車場経営:時間貸しコインパーキング駐車場(業者契約)のケース

駐車場経営のうち、最も手間や初期投資コストがかからず、また収益も安定するのが、時間貸しのコインパーキング駐車場をコインパーキング業者と契約して運営するケースです。
 
基本的に土地オーナーは、駐車場となる土地をコインパーキング業者に貸し、駐車場の稼働率/稼働台数に関わらず、最初に見積もりされた一定の賃料を得るだけなので、運営の手間などはほとんど発生しません。
 
またコインパーキング駐車場経営に必要な設備は、基本的にコインパーキング業者が全て用意・設置し、周囲への挨拶周りなどもしますので、一番手間がかからず、効率的に駐車場経営が始められる方法です。コインパーキング業者と契約して、駐車場を開設するまでの詳しい方法は、こちらの過去記事も参考にしてください。
 
【過去記事】:コインパーキングを始める際に必要な4つのステップ+1
 

業者契約でコインパーキング駐車場を経営する際の初期投資

 
■アスファルト舗装工事
■フェンス(メッシュフェンスor目隠しフェンス)
■フェンス設置工事

→コインパーキング業者と契約して駐車場経営しても、アスファルト舗装とフェンス設置は土地オーナーが負担するケースがあります。これをコインパーキング業者に委託する事も可能ですが、その分、業者側の初期コストがあがるため、見積もり賃料は安くなります。
もし土地を取得した段階でアスファルト舗装がされており、なおかつその舗装やフェンスにも問題がない場合は、すぐに駐車場として活用ができます。
 

駐車場経営の方法ごとに初期投資と設備は異なる

以上が、駐車場経営をする時に最低限揃えたい設備と初期投資ですが、これ以外にも駐車場にしたい土地によって、様々な初期投資が発生します。例えば、建物がある場合はその取り壊し費用や登記変更の手続きも必要になります。
各設備/工事の相場や費用については、また別の記事にて解説致します。
 
いざ駐車場経営をする際に、思わぬ見落としがないよう、自営の場合でも、駐車場経営経験がある人に相談するのが一番のオススメです。
もちろん当サイトでは、元大手コインパーキング会社の社員や不動産の営業マンなど、駐車場経営のプロが在籍しておりますので、お困りのことがあれば、ぜひご相談ください。