今回のテーマは「コインパーキング会社から受け取れる賃料の消費税」について。
コインパーキング駐車場経営の利回りが変わる可能性があり、既にコインパーキング業者との契約をしている方も、新規に契約を考えている方も必見の駐車場経営ノウハウです。
まず駐車場経営の基礎知識の一つとして、必ず覚えておきたいのが駐車場に関わる税金。その一つとしてあげられるのが、土地をコインパーキング会社に貸して、一括借上げ(サブリース)をした際に支払われる賃料です。実はこの一括借上げの賃料には、消費税を含んだ「税込み賃料」の場合と「税抜き賃料」の場合とがあります。
コインパーキングの借上げ契約は基本的には2年間。さらに一度契約が始まれば、契約更新の際に賃料変更するか、もしくは別のコインパーキング業者と契約しなおすまで、賃料は一定額となります。賃料を受け取る立場としては、税込みか税抜きなのか、この差によって駐車場経営の収益性が変わります。
目次
コインパーキング会社からの賃料と所費税
コインパーキング会社から受け取れる一括借上げの賃料は、税法上に定める土地の状態によって、課税(消費税込み)と非課税(消費税抜き)とに分かれます。
賃料が消費税込みの場合は、賃料に消費税預かり分が含まれるため、消費税の課税事業者は決算や確定申告の際に、支払われた賃料に含まれる消費税分を納税しなくてはなりません。(消費税の課税事業者ではない場合は、消費税分も得られる)
つまり契約の最初に定められた賃料全額が受け取れるわけではないので、前述の通り、駐車場経営自体の利回り計算も大きく変わってくるのです。
コインパーキング会社からの賃料が課税・非課税になる条件
では、賃料が課税・非課税になる条件とは何なのでしょうか。まず駐車場経営上、重要な基礎知識の一つが、税法上『土地の賃貸借は非課税』ということです。
消費税のかからない非課税取引として代表的なものが、家や部屋を借りる際に生じる「家賃」です。皆さんもアパートやマンションの部屋の賃貸をした際に、管理費や共益費は取られても、消費税を取られたことはありませんよね? 同様に、土地の賃貸借も、税法上は非課税な取引きなのです。
では逆に言うと、なぜ消費税の含まれる、課税対象のコインパーキング一括借上げ賃料が存在するのでしょう。
実は、貸し出す土地の状態によって、それが「土地(更地)の賃貸借」ではなく『駐車場の賃貸借』であるとみなされた場合、消費税が発生するのです。
更地か駐車場かの判断ポイント
では、非課税である土地(更地)と課税対象となる駐車場を分ける基準は何なのでしょう。
一般的には、土地に建物や設備がない、アスファルト舗装もされていない場合は、この土地が更地とみなされます。
反対に、既にその土地が月極駐車場として運営されていたり、アスファルト舗装やフェンス、駐車スペースのラインなど、駐車場の運営が可能な状態の場合、この土地は駐車場とみなされるのです。
土地の状態と賃料について、今までの話をまとめた、以下の例を見てみましょう。
土地の貸し出しが課税・非課税になる例
例として、ある土地の所有者Aさんが、土地を駐車場として利用したいBさんに貸し出し、50万円を受け取る場合を解説します。※2016年8月現在の消費税8%として計算。
■Aさんの土地が何の建物・設備もない、舗装もされていない更地の場合
▲土地は更地である Aさんが受け取れる賃料 = 50万円(非課税・消費税なし)
・・・つまり50万円全額を賃料として受け取れる。
■Aさんの土地がアスファルト舗装された上、フェンスが設置されている場合
▲土地は駐車場である Aさんが受け取れる賃料 = 50万円(税込み)
・・・一部が消費税預かり分となり、実質の賃料として受け取れるのは46万2962円。
※もしくは、Bさんが消費税分を上乗せして、54万円を支払う必要がある。
この例の様に、その土地が「土地(更地)の賃貸借」であるとみなされれば非課税、「駐車場の賃貸借」とみなされれば課税対象となるのです。
利回りが変わる駐車場経営のノウハウ!
以上の解説にて、課税対象になるケース、非課税になるケースの違いはご理解いただけたかと思いますが、ここからが少しだけ駐車場経営がうまくなる?ノウハウです。
何もない更地状態の土地をコインパーキング駐車場にする場合、コインパーキング用の設備とは別に、『アスファルト舗装』や『フェンス設置』『ライン引き』など土地自体への初期投資費用が必要となります。この初期投資を土地オーナーが行う場合は、土地オーナーから引き渡す土地は『駐車場』扱いになるため課税対象、初期投資をせず、そのままコインパーキング業者に貸す出す場合は当然『更地』扱いなので非課税となります。
そして課税対象の『駐車場』となれば、コインパーキング会社にとっては、支払う賃料を消費税込みにするか、もしくは賃料とは別にさらに消費税を支払う必要があるのです。
そのためコインパーキング一括借上げの見積は、以下の点に留意しましょう。
・まず自身が消費税を納税する課税事業者かどうかを確認
→開業後2年以上の個人事業主や法人の場合は要確認
・アスファルト舗装等を自分でする見積、業者に任せる見積の両方をもらう
→初期投資費用の金額自体を確認
コインパーキング業者側がアスファルト舗装等の初期費用を負担すれば、当然、コインパーキング業者からの賃料も減ります。またコインパーキング業者として、あまり需要を見込んでいない土地であれば、初期費用を土地オーナーが支払わなければ契約しないというケースもあります。
しかし課税事業者でなければ、駐車場として貸し出して消費税込みの賃料を得ても、消費税を納める必要がないので、支払われた金額全てを得られることになります。
つまり、このケースでは、初期投資費用を負担して、消費税込みの高い賃料を得たほうが実質の利回りが良くなるのです。
一見、コインパーキング業者から、初期費用を持たされるような不利な契約条件にも思えますが、トータルで考えると得になる可能性がありますね。コインパーキング業者としても、賃料(消費税分)の受け取り側が納税する・しないは、業者自身とは関係のないことなので、初期投資を持ってもらった方がより高い賃料を出せるのです。
この税法上の仕組みを理解して、より効率的な駐車場経営を目指していきたいですね。
土地から収益を得る駐車場経営としては、少しでも高い利回りを得たいものです。
コイパーキング運営に関わらず、月極駐車場、駐車場設備などのお悩み事がありましたら、ぜひ我々、駐車場経営のプロにご相談ください。
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